近年、環境・社会・ガバナンスリスク（以下、ESGリスク）は増加傾向にあります。実際、世界経済フォーラムによる2015年の調査では、回答者の約3分の2が、見過ごされているESGリスクは世界経済の安定に対する大きな脅威であると考えていることが明らかになりました。
では、ESG リスクとは一体何なのでしょうか。ESGリスクとは、広義には、環境、社会、ガバナンスの問題から生じるあらゆるリスクと定義することができます。気候変動、人権侵害、汚職、贈収賄などが含まれます。
ESGリスクは「非財務的」なリスクと捉えられがちですが、企業に大きな財務的影響を与える可能性があります。例えば、サプライチェーンでの児童労働が発覚した場合、企業は大きな風評被害を受け、顧客や収益の減少につながる可能性があります。
幸いなことに、企業がESGリスクへのエクスポージャーを減らすためにできることがあります。本ブログでは、ベンダーやサプライヤーのESGリスクを低減するための3つの具体的な方法について説明します。
ESGリスクを低減するための最初のステップは、見込みのあるベンダーやサプライヤーのデューデリジェンスを実施することです。このデューデリジェンスには、単に推薦状を確認するだけでなく、ベンダーやサプライヤーのビジ ネス慣行に関する調査も含まれるべきです。
例えば、アフリカから原材料を調達しているサプライヤーとの取引を検討している場合、そのサプライヤーが人権侵害に関与していると非難されているかどうかを調査したいと思うでしょう。そのサプライヤーが人権侵害で訴えられたことがある場合、そのサプライヤーがその懸念に対処するための措置を講じているかどうかを検討する必要があります。
もし、候補となるベンダーやサプライヤーのビジネス慣行になじめない場合は、別の選択肢に移るのが最善でしょう。
強力な契約上の保護を導入する
ベンダーやサプライヤーを選定したら、強力な契約上の保護を導入することが重要です。これらの契約上の保護は、ESGリスクへのエクスポージャーを最小化するものでなけれ ばなりません。検討すべき契約上の保護には、以下のようなものがあります。
- 児童労働や強制労働を許さない方針
- ベンダーまたはサプライヤーが適用されるすべての環境法令を遵守するための要求事項
- ベンダーまたはサプライヤーが腐敗防止コンプライアンスプログラムを確立し、維持することを要求するもの、及び／または
- ベンダーまたはサプライヤーが利益相反を特定し、管理するための手順を確立し、維持するための要件
ベンダーやサプライヤーとの関係を定期的に監視する
契約上の保護を設定したら、ベンダーやサプライヤーとの関係を定期的に監視し、契約上の保護が守られていることを確認することが重要です。モニタリングは、社内でも社外でも可能ですが、定期的に行う必要があります。関係を監視する際に確認すべき事項には、次のようなものがあります。
- ベンダーまたはサプライヤーの所有権または経営権の変更
- ベンダーまたはサプライヤーの企業構造の変化
- ベンダーまたはサプライヤーのビジネスモデルの変化
- ベンダーまたはサプライヤーに関する否定的なメディア報道
- ベンダーやサプライヤーの潜在的な問題についての噂、および/または
- ベンダーやサプライヤーの従業員の行動の変化（例：欠勤の増加）
これらの変化のいずれかに気づいた場合、それはベンダーやサプライヤーにおけるより大きな問題の兆候である可能性があり、それはあなたの会社を危険にさらす可能性があります。このような変化があった場合は、直ちに調査する必要があります。
ESGリスクは現実のものであり、企業に大きな財務的影響を与える可能性があります。幸いなことに、これらのリスクへのエクスポージャーを減らすために、企業が講じることのできる措置があります。例えば、見込みのあるベンダーやサプライヤーに対するデューデリジェンスの実施、強力な契約上の保護の実施、ベンダーやサプライヤーとの関係の定期的なモニタリングなどです。これらのステップを踏むことで、企業はESGリスクへのエクスポージャーを最小化し、潜在的な損失から収益を保護することができます。
